CB1300スーパーボルドール(以下CB1300SB)は、その重厚な車体とパワフルな走行性能で多くのライダーに愛されている大型バイクです。
安全なライディングを維持するためにも、ブレーキパッドの定期的な交換は欠かせません。
この記事では、CB1300SBのフロントブレーキパッドを自分で交換する手順と、作業前に知っておくべき注意点を詳しく解説します。
必要な工具とパーツ

- 送風機
- トルクレンチ
- ラチェットレンチ
- クイックアダプター
- ソケット型六角レンチ(5mm)
- L型六角レンチ(5mm)
- ブレーキグリース
- プラスドライバー
- ブレーキクリーナー
- ブレーキパッド4枚
【重要】作業前に確認!ブレーキパッド交換時の注意事項
ブレーキは命を預ける重要なパーツです。交換作業を始める前に、以下の注意点を必ず確認しましょう。
- 整備に自信がない場合は無理をしない
ブレーキまわりの整備に不安がある場合は、必ず専門の整備士に依頼しましょう。間違った作業は重大な事故につながる可能性があります。 - 車体が安定している状態で作業する
センタースタンドやメンテナンススタンドを使って、車体をしっかり固定してください。転倒やケガを防ぐための基本です。 - ブレーキフルードに注意する
ブレーキピストンを押し戻す際にマスターシリンダーからフルードがあふれることがあります。事前に液量を確認し、ウエスを敷くなどして対策を取りましょう。 - 清潔な環境で作業を行う
ブレーキまわりは極力ゴミやオイルが付着しないように注意してください。汚れや異物は制動力に影響します。 - トルク管理は正確に
締め付けトルクはサービスマニュアルで確認し、トルクレンチを使って正確に締めましょう。過剰な締め付けや緩みは故障の原因となります。
※このブログの情報を参考にしてブレーキパッド交換を行う場合は、必ずご自身の判断と責任のもとで作業をお願いいたします。万が一の事故や不具合について、当方では一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。
※このブログで紹介している情報をもとに、ブレーキパッドの交換を検討されている方は、必ず慎重に行動してください。
ブレーキシステムはバイクの安全性に直結する非常に重要な部分です。誤った取り扱いや取付けは、重大な事故や故障の原因となる可能性があります。
作業を自己責任で行う場合は、必ず正しい知識と確かな技術を身につけたうえで実施するか、整備士など専門家の指導を受けることを強くおすすめします。何よりも安全を最優先に考え、無理のない範囲で慎重に作業を進めてください
作業開始!その前にセンタースタンドかメンテナンススタンドでバイクを固定する
メンテナンス作業を始める前に、まず何より大切なのは「バイクをしっかり固定すること」です。
スタンドが不安定だったり、斜めの場所で作業をすると、思わぬタイミングでバイクが動いたり倒れたりする危険があります。
特にブレーキまわりの作業はフルード液が漏れたり、車体が揺れると非常に危険なので、安定した平地でセンタースタンドやメンテナンススタンドを使用し、安全を確保してから作業に入りましょう。
六角レンチ(5mm)を使いピンを外す

フロントキャリパーは、左右に1つずつ取り付けられています。
まずは、L型六角レンチを使って、キャリパーに付いている2本のピンを緩めましょう。
ピンがある程度緩んだら、指でつまんで軽く引っ張るだけで簡単に外れます。
無理にこじらず、やさしく作業してください。

ピン(ボルト)は硬く締まっているので、力の入りやすいL型六角レンチを使用して、ゆっくり力を込めて緩めてください。
ピンを外した際、たまにスプリングパッドが弾けるので注意


ピンを外しました、スプリングは指で外せます。


外したピンとスプリングパッドです。
汚れているのでブレーキクリーナーをかけてウエスで綺麗に掃除しましょう
ブレーキパッドを外す


スプリングパッドを取り外すと、ブレーキキャリパーが見えます。
パッドは片手では外しにくいため、両手の指で角を引っ掛けて、ゆっくりと引き抜きましょう。


ブレーキパッドを外したキャリパー内です。



めちゃくちゃ汚れているので
ブレーキクリーナーと歯ブラシなどで掃除しましょう
取り外したブレーキパッド




ブレーキパッドの厚みが3~2mmになっていたら早急に交換が必要です。



フロントブレーキは摩耗が少ないです


新しいブレーキパッドと古いブレーキパッドです


ピストン戻し


新しいブレーキパッドを取り付けるには、ピストンを戻す必要があります。
ブレーキキャリパー内にパッドを収めるためには、ピストンを奥へ押し戻さないと入りません。
これまでの作業工程は、左右のキャリパー両方を同時に進めるようにしてください。



ブレーキパッドが摩耗した分ピストンが出ますので
厚みのある新しいパッドは入りません
ピストンを戻す際にはハンドルを真っ直ぐにして、
マスターシリンダーの蓋を開けておくことが重要です


ピストンを戻した分だけブレーキフルードがマスターシリンダーに戻るので、
ピストンを戻す際はマスターシリンダーの蓋を開けておきましょう。
腐食性の強いフルードが漏れる可能性があるので、
マスターシリンダーの周りをウエスでガードしてください。



蓋を開けずにピストンを戻すと
フルードが漏れることもあります
プラスドライバーで簡単に開ける事が出来ます。


マスターシリンダーの蓋は三層になっています。
黒い蓋を外すとプレートダイヤフラムという蓋が出てきますが、
このプレートにはブレーキフルードが付いていることがありますので
フルードがこぼれないように慎重に外してください。


プレートダイヤフラムを外すと黒いダイヤフラムが出てきます。
これには必ずブレーキフルードが付いているので、
慎重にこぼれないように外してください


プレートダイヤフラムとダイヤフラムを外したら綺麗に洗いましょう
フルード液は水溶性なので、水で簡単に落とせますが、
掃除後は水気を完全に取り去ることが必要です。
シリンダー中に水分を入れないために完全に水気をなくす
ウエスで拭くと、繊維やホコリが付着するので、
送風機かコンプレッサーで水気を吹き飛ばすのがおススメです。
上の写真の送風機は小さいけれど強力な風が出るので便利です。


三つの蓋を外した状態です。この状態でピストンを戻してください。


ピストンを戻すのに役立つのが傷防止付きウォーターポンププライヤです。
専用の工具もありますが、これが使いやすいです。
傷防止付きでもキャリパーに傷がついてしまうことがあるので、ウエスでガードしてください。
フロントキャリパーは2個あるので、ピストンを戻すときは両方同時に行いましょう。
ピストンを戻したときに、フルード液が上限線を越えるようであれば、
液を吸い取ってください。



下の写真のゴムホースの付いた注射器を使うと便利です
マスターシリンダーの内部(フルード液)にゴミやホコリが入らないように気を付けてください
ゴミがブレーキホースに詰まるとブレーキが効かなくことがあります。


フルード液を吸い取った注射器



上限線を越えた分だけ吸い取ればOKです


こちらがピストンを戻した状態です。
写真では見えませんが、キャリパーの手前側にもピストンがあります。
左右のキャリパー内には合計8つのピストンがあるので、すべて戻し終えたら、
マスターシリンダーの蓋を元通りに取り付けてください。
マスターシリンダーの蓋を取り付ける際は、
「ダイヤフラム → プレートダイヤフラム → カバー」の順で正しく重ねていきましょう。
取り付け順を誤ると、フルード漏れや密閉不良の原因になりますので注意が必要です。
ブレーキパッドを取り付ける
パッドを取り付ける前に、ブレーキ鳴きを防ぐため、裏側にパッドグリスを塗っておきましょう。



ピストンが当たる箇所だけでいいです


グリスを塗り終えたら、パッドをキャリパーに取り付けます。
パッドの角を指でつまみ、位置を確認しながら丁寧にキャリパー内に差し込んでいきましょう。


ピンとスプリングパッドを取り付ける
2枚のパッドが入ったら、次は2本のピンとスプリングパッドを取り付けていきます。
ピンには、忘れずにグリスを塗布してください。
下の写真は、「デイトナ 万能グリース」です。





ピンの軸にだけ適量のグリスを塗り、ネジ山には絶対に付かないよう注意してください。


スプリングパッドは、ブレーキパッドの上にかぶせるように取り付けます。
向きが決まっており、「↑」と「UP」と刻印されている側が上になりますので、
取り付け時は注意してください。
スプリングパッドをセットしたら、グリスを塗ったピンを差し込みます。
その後、ネジ山にネジロックを塗ってから仮止めしておきましょう。
ピンの通る順番は以下の通りです
キャリパー → パッド → スプリングの上 → パッド → キャリパー
この順番を間違えると正しく組み付けできないので、しっかり確認しながら作業を進めてください。



ピンを差し込むときはスプリングパッドの中を通るように差し込んでください


下側のピンを差し込んだら、次は上側のピンを取り付けます。
写真を見ていただくと分かるように、ピンはスプリングの中を通るように取り付けます。
この構造により、ピンがスプリングを押さえ、スプリングがブレーキパッドを固定する仕組みになっています。


適正トルク18Nm
本締めする前に、取り付けに不具合がないかしっかり確認して、
トルクレンチを使用して適正トルクで本締めしてください。適正トルクは18Nmです。
ブレーキパッド交換終了、最終確認
ブレーキパッド(合計8枚)の交換が無事に完了したら、
フロントブレーキレバーを4〜5回ゆっくり握って、ピストンを押し出していきましょう。
これにより、パッドとディスクがしっかり密着し、正常なブレーキ操作ができる状態になります。



最初の一回目はレバーがグリップに付くぐらい抵抗がないのですが、
ピストンが出ていないだけなので、大丈夫です
ピストンを正常に押し出せたら、最後にブレーキの制動確認を行いましょう。
バイクを手で押しながら、
- フロントブレーキがしっかり効くか
- 異音がしないか
- 不自然な抵抗がないか
を丁寧にチェックしてその後、実際にバイクに乗ってしっかりブレーキが効くかを確認してください。
この工程を省くと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。安全のためにも、必ず確認しましょう。